会社を辞めたくなる理由と心理
何かの縁があって勤め始めた会社ですが、早期に会社を辞める若手社員は高止まりを続け、同じ会社に居続けようと考える人は主流派ではなくなっています。
会社を辞めたくなる代表的な理由を心理学的な観点から考えます。
「人間関係が嫌だから」「生理的に嫌な上司が居るから」
お金を払う代わりに何かを教えてもらう学校と、何かを提供する代わりにお金をもらう会社では根本の部分が大きく違う事になります。
そこに居る事の意味や目的が違えばふさわしい考え方や行動がガラリと変わる事になります。
自説を曲げず、他人に合わせる事をしないままに時を過ごした会社員も居ますが、通常は他人と関係しあう中で角が取れ、自分を中心に据えた考え方から脱却していきます。
また、争い事を好まず、心地よく感じられる人達に囲まれている事に大きな価値を見出す人もいます。
耐えに耐えた一部の人を除けば、自分にとってのまずい人間関係を退職理由として安易に口にする若手社員は「未成熟者」と言え、働く準備が整っていない(レディネス)人と言えます。
成長のために不可欠な要素となる人間関係の中での 『葛藤』(ジレンマ・コンフリクト)や、 『抵抗』 を経験していないか避けてきた事が考えられます。
「思っていたのと違う」「期待外れ」
「若さの特権」と言えば、夢や希望を抱く事とその実現を信じて疑わない事が挙げられます。
一定数の人材確保のためにイメージ先行のPRを行う会社側に問題がありますが、それを鵜呑みにして勝手に膨らませてしまう側の社会スキルの未成熟さも問われます。
数多くの中から入社先を選択する事が可能な時期に就職活動を行うと、入社後しばらくして、「ちょっと違うから・・」 を考える人が多くなります。
「自分が選んだ会社だからいい会社に違いない」
「あそこの会社を蹴ってまで入る会社だから素晴らしい会社だ」 など、
内定から入社までの間に自分が選んだ会社を実態以上に評価する気持ちが膨らみます。
内定後の時期は働く事への漠然とした不安を抱く時期でもあり、そんな不安を打ち消すためにも自分が選んだ会社への希望を現実のものとして認識する事で自分を励まします。
そしてある種高揚した気分(ハイ・High)のまま入社して現実を知り、被害者意識を強くします。
「やりたい事をやらせてもらえない」「やりがいを感じない」
自分は何をやりたいのか?何に価値を見出す人間なのか?そんな問いに一定の答えを出してから行う就職活動が当たり前になっています。
『自己分析』と称して自分を振り返り、自分の将来を見据えた上での就職活動が推奨されています。
働く事がもたらす時間の制約や心理的な息苦しさを理解していない段階で行われる自己分析は、自分の事を歪めて認識させてしまう危険をはらみますが、まずは自己分析ありきで就職活動が行われています。
自分がやりたい事のイメージをそれなりに明確に抱いて入社しますが、最短距離で進んでいく事ができない現実を知り、日々行うルーチンワークに無意味さや飽き、疲労を感じる事が引き金となり、「それなら他の会社で実現する」となります。
「将来が不安」
会社の行く末を不安に感じれば、若手社員でなくとも居ても立ってもいられなくなります。
若いが故に今後働いていく期間は長く、転職市場における需要もある事から、一旦会社に対する不安を感じてしまえば後の行動は早くなります。
組織に忠誠を誓って最後まで添い遂げるといった感覚は希薄になっています。(集団同一視)
「最後の最後まで付いていく」と、感じさせてくれるような人が居れば話は別ですが、滅んでいく組織にそれとは気付かず残っている事を想像する事は、自分の無能振りを宣伝する行為であると感じさせます。
また、転職市場でよく言われる言葉として、「優秀な人から会社を逃げ出す」というものがあり、不安を感じさせる組織からは一刻も早く立ち去りたい意識が強化されます。
「忙しすぎる」
「一時的なもの」と感じられればよいのですが、身近で働く先輩や上司の姿を観察し、
「この会社にいればいつまでたっても楽はできない」といった思いを強くします。
特に、身近な人の中から心の病気を発症する人が出た場合は、「このままでは自分も・・」の思いが強化され、何はなくとも退職を目指した行動が活発になります。
安定期にある会社や成長期にある会社など、例え同じ業界であっったとしても、会社によって置かれた状況は全く違ったものになります。
今現在が忙しいとは言っても、何も変わらずにそのままの状態である続ける事はありえません。
ただ、将来・未来を予測するには現在や過去の状況から類推するしかなく、
「今の状態がこのまま続く」と考える事にも仕方がない面はあります。
また、
目指すべきライフスタイルが明確で、お金や仕事の充実よりもゆったりとした生活の実現を優先したいと考える人が増えています。
そんな人にとっては、仕事に振り回されて与えられた役割りを演じているだけに感じる事は大変辛いものとなります。
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